コンピュータ、教育心理学の二刀流!吉岡恵吾さん研究インタビュー

コンピューターアーキテクチャーとサイバーセキュリティー、教育心理学が専門の高校二年生、吉岡恵吾さんにインタビューを行いました!

ゆるり まず最初に、専門分野と趣味について教えてください。

吉岡さん 専門分野はコンピューターアーキテクチャ(コンピューターにおける設計思想)とサイバーセキュリティーです。また、少しだけ教育心理学の研究をしています。

エンドウ豆 他に興味のある分野はありますか。

コンピューターアーキテクチャの勉強をしていて、だんだん低レイヤー(コンピューターの仕組みや原理などを扱う分野)の方面に関心を持つようになり、最近は基板、電子工学、量子力学とかにもすごく興味があります。ですが、なにしろ僕は物理の知識があまりないので、とりあえず今は物理の勉強中です。

趣味はお笑いをやることやヒップホップなどの音楽を聴くことです。お笑い大好きなんですよね。

ゆるり なるほど、様々なことに取り組まれているのですね。次は研究内容について伺いたいです。どのような研究をされているのか教えてください。

現在、2つの研究を行っています。1つ目の研究では、コンピューターのメモリーに存在するぜい弱性の発見と、その議論を行っています。つい最近「RowHammerを用いたページテーブル上のGlobal bit書き換えによるプロセス間データ覗き見手法」っていうタイトルで論文を投稿しました。

また、僕らの世代から情報Ⅰが高校で必修化されたことにより、プログラミング教育というものが始まりました。そこで2つ目の研究として、そのカリキュラムをどういったものにすればいいのか、どのようなものが一番効率的なカリキュラムになるのかを解き明かすために、問題解決の能力とプログラミング教育の相関を調べています。

ゆるり ありがとうございます。やはりコンピューターを軸にして様々な活動をされているのですね。続いて、ご自身の研究において面白いところと苦労したところをお聞かせください。

面白いところは、自分が世界で唯一その研究を行っているところですね。また、研究内容を人に伝えるところも面白く、学会などのいろいろな場所で自分の研究を発表し、他の人にそれを広めるのも面白いところかなと思います。

苦労したところは、世界で誰もやっていない研究なので、研究手法だったり、どうすれば自分の立てた仮説を検証できるのか考えるのが難しかったりしたところです。他には、僕がやっている内容は研究に必要なソフトウェアのマニュアルや文献なども少ないというところもあります。ですので、エラーが起きた時にどうやって直せばいいのかなどはすごい苦労しました。面白い点の裏返しなんですけどね。

ゆるり なるほど。大変なところが多い分、達成感は凄いでしょうね。コンピューターアーキテクチャの研究についてもう少し詳しくお聞かせください。学会などで発表される際、ポスターや論文はご自身で作成されているのですか?

そうですね。先生に一部手直しをしてもらっているのですが、基本的には自分で作っています。今後は『情報科学の達人』のプログラムの一環で3月に作ったポスターを使ってポスター発表をする予定です。また現在は、8月に北海道で開催される情報処理学会のオペレーティングシステムの学会に向けて論文を執筆しています。

ゆるり ありがとうございます。現在の研究を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

1つ目のコンピューターアーキテクチャの研究は、昨年度、国立情報学研究所が実施している『情報科学の達人』というグローバルサイエンスキャンパス(※1)に採択されたのをきっかけに始めました。プログラムの期間終了後の今でも、当時メンターとして協力してくれていた先生方と一緒に研究を進めています。

※1グローバルサイエンスキャンパス:中高生が大学の研究室に配属され、高いレベルの研究をできるプログラム

2つ目のプログラミング教育についての研究は、高2のときの卒業論文がきっかけで始めました。

ゆるり ありがとうございます。ちなみに、数学や情報に興味を持ったきっかけは何ですか?

中1の時に学校のコンピューター部に入ったのが1つの理由と言えますね。コンピューター部に入った後、先輩のおかげでいろいろなものに触れさせてもらいました。それが情報分野に興味を持ったきっかけです。

ゆるり なるほど。コンピューター部に入部したことが全ての始まりだったんですね。情報分野の一番好きなところは何ですか?

コンピュータサイエンスは生物や化学、物理などとは違って人の作った物についての分野なことも一つの面白い点だと考えています。他にも、0と1の信号だけでこれほどまでに多くのことを実現できる点が素晴らしいです。

1ビットだけの情報の中でこんなに色々なことができるということは凄いと、常日頃から思っています。

ゆるり 確かにそう考えると面白いですね。ところで研究以外では普段どんなことをされているのですか?

全然研究とは関係ないのですが、高校でお笑いのサークルを立ち上げました。サークルでは学内や学外のさまざまな学校や大人の方々を招いてお笑いライブを企画したり、出演したりしています。

ゆるり お笑いもやられているのですか。様々な活動をされているのですね。では、次に進路や将来の夢についてお聞かせください。

大学に進学することは既に決めていますが、進学先として日本の国立大学だけでなく海外の大学も視野に入れています。コンピューターサイエンスに進むか、物理や工学の分野に進むかはまだ決めていません。将来的には博士号を取って、Big
Tech(※2)な
どの大企業か、あるいは有名な大学で研究者として働きながら、科学コミュニケーションや教育といった科学技術を一般の人々に普及させる分野にも関わりたいと考えています。

※2 Big Tech:Apple, Meta, Google, Microsoft, Amazonといった大手IT企業の総称

ゆるり 最後に、読者の皆様へ伝えたいことなどはありますか。

プログラミングをやっている人はたくさんいると思います。アプリを作ったりゲームを作ったりといったことに興味を持っている方は多いと思うんです。しかし、学術的な研究もコンピューターサイエンスにおける大きな魅力のひとつです。ですので、もしプログラミングに興味があるなら、学術的な研究の方に足を踏み入れてみるのも面白いと思います。

ゆるり 本日は取材を受けていただき、ありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。