ロボットと人間を対等に!斎藤淳平さん独占インタビュー

孫正義育英財団、未踏ジュニアなどに所属し、ロボットのモーターや動くディスプレイなどの研究を行っている斎藤淳平さん。本日は彼にロボット分野の魅力、活動にかける情熱の理由、これからの展望などについてインタビューを行った。

ぴく 本日は忙しい中取材を受けてくださりありがとうございます。

斎藤さん いえいえ、よろしくお願いします。

ぴく よろしくお願いします。早速ですが、専門分野とご所属からお聞きしてもよろしいですか?

専門というほどでもありませんが、ロボットが好きです。今の所属は…燈―Tomoshibi―っていう自分がリーダーやってるロボットのプロジェクトですかね。それと孫正義育英財団。6期生としてお世話になっています。あとは未踏ジュニア!!モーターの研究で採択してもらいました!

ぴく そうだそうだ、おめでとうございます。

めっちゃ頑張って書いた方の申請書じゃなくて、ChatGPTとか使って5分ぐらいで書いた方が通っちゃった。なんかモヤモヤしますね。

ぴく でもすごいなやっぱ。未踏ジュニアなんてめちゃめちゃ難しいですからね、現に僕も落ちましたし。

あとは今年から情報科学の達人にも所属しています。コンピューターのアルゴリズムをちゃんと学びたいなぁっていうのがあったので、始めました。

ぴく 情報科学の達人はどんな感じですか?

う〜んまだ分からない。始まったばかりで何もしていないからね。

ぴく 動画とかめちゃめちゃ多いらしいって聞きました。情報科学の達人めちゃめちゃ大変だって。

いや〜、そうなのかな。本当に何もしていないからな。

ぴく 本当ですか?

いや、動画があるとは聞いているんだけど、締め切りはまだなので。

ぴく 凄い量があるらしいですね。話を聞いた限り。

え〜、やば。全然知らなかった

ぴく これから地獄を見るタイプだった。趣味とかってあったりしますか?

う〜ん。ロボットかなぁ。

ぴく なんとなくそう言うだろうなぁとは思った。

いや〜正直ロボット以外やっていないんだよね。

ぴく いいなあ。

あとTwitter(現在のX)

ぴく そうだったTwitterガチ勢だった。(笑)

ずっとTwitterはやっていますね。ロボットの情報を収集しているからって言い訳はあるんですが。

ぴく ですよね。たまに流れてきます。

ヰタ それでは現在の研究内容について教えてください。

まずはモーターの研究をやっています。これが今年度(2023年)の未踏ジュニアに採択いただいたやつですね。

ぴく あんだけ並行して色々動かしながら未踏ジュニア取ったの本当に凄い。

あとは、動くディスプレイですね。

動画:斎藤淳平さん提供

ぴく ああ、あれか。めちゃめちゃいいですよね。

ディスプレイって2次元平面でxyしか表せないんですよね。平面なので深さの情報がない。

ぴく そうですね。本当の3次元空間はディスプレイだと作れない。

それをなんとか拡張したいなぁ、ディスプレイの向こう側と現実世界っていう境界線をあやふやにしたいなぁと思って作ったのがこのディスプレイですね。

ぴく いいなあ。

ディスプレイ側を動かすことで二次元平面の形状は保ちながら深度を作れないかなぁというのを考えてやってます。

ぴく これ、めちゃめちゃ好きです。カッコいいし夢がある。

あとは研究とは違うとは思うんですが、ロボットの促進活動みたいな。そういうのをやっています。近所の子供にロボットの作り方教えるとか。

ぴく なるほど。開発や研究以外に普及活動などもやられていますが、どういう思いでされているのですか?

パソコンとかそうですけど、やっぱり現代においてロボットって道具として使われてるじゃないですか。でもみんながロボットを作り始めたら、友達というか仲間としてロボットを見られるようになるんじゃないかな、そうなったらいいなぁという思いでやっています。

ぴく ドラえもんみたいな?

そうですね。ドラえもんに近いかもしれない。僕は中学でたまたま入った部活が奇跡的にロボットをやっていて、そこからのめり込んだので、他の人にもそんな感じのキッカケを与えられたら、ロボットを好きになってくれるんじゃないかなって思っています。

ぴく ロボットをやっている普通科の高校って結構少数派ですもんね。あまり聞いたことがないです。

そうなんだよね。だから他の人にもロボットと触れる機会を作ってあげたいなぁと思って普及活動をしています。ロボットの沼にハマってもらいたいなぁと。

ぴく いいですね。ロボットの作り方を子どもたちに教えたり、魅力を教えたりする上で、特に苦労したりしたことってありますか?

大変なことか…色々あるんだよね。人に教えるって本当に難しい。手取り足取り教えたところでロボットの楽しさが分かるとは限らないので。だからといって、全部「自分でやれ!!」って姿勢だと最初は何が分からないのかすら分からない状態だから、嫌になってやめてしまう。 どうしたらそのロボットが動くのか、なぜ失敗したのか、どこまで自分で考えさせてどこまで教えてあげればいいのかを決めるのが本当に難しい。

ぴく 何かを教える場合全般に言えますよね。本当に人に教えるのは難しい。でもやっぱり大変なことを色々考えながらも普及活動を続けているってことはやっぱりロボットが好きなんですね。

(笑)そうだね。

ぴく 知ってはいたけど。本当にずっとロボットの話をしてますもんね。

まぁね(笑)

ぴく この前、一緒にバス乗った時もずっと基板の話してました。

あったね〜楽しかった。

ぴく いつもお世話になっております。

いえいえ、こちらこそ。これからもよろしくね。

ヰタ そうだ、特に大変だったところはあったりしますか?

あ〜どれだろう。

ぴく 多すぎる?

色々大変なことが沢山あるからなぁ。技術的な面とかももちろんそうだね。訳の分からないことが起こったりするし。

ぴく うんうん

でも一番大変なのはね、燈での悩みなんだけど、チームメンバーのモチベーションの維持とか、役割分担がめちゃめちゃ大変ですね。

ぴく 先月も言ってましたね。分担をどうすればいいのか分からない。自分がどこまで手を出せば良いのか分かららないって。

そうそう、めちゃめちゃ難しい。でも、わりと解決策が見えはじめてきて。

ぴく ほう、解決策というのは。

僕が暇になることなんですよね。

ぴく 暇に?

言葉は悪いけど、そうだね。少し前まで、時間のかかりそうなところがあったら、人に任せるより自分でやっちゃったほうが速いや!ってなって、自分でやっちゃってたんだよ。

ぴく それできちゃうんだからすごいですよね。

いやいや、でもさ、僕が全部やっちゃうと自分のキャパシティーがおかしくなるし、それぞれのモチベーションも低下しちゃう。あと彼らの能力が伸びない。だから、とにかく仕事が発生したらメンバーに任せて、僕は暇になるのがいいのかなぁと思ってるんだよね

ぴく あ〜。たしかに。そういう部分はありますよね。何でも自分でやろうとすると破滅を招く。

そうなんですよねぇ。

ぴく 話は変わりますが、ロボット分野に興味をきっかけというか、一番最初の体験みたいなのって何だったんですかね。

いや〜なんだろうな。レゴかなぁ〜。

ぴく レゴですか。

そうそう。あれで物を作るの面白いなぁ〜って思ってハマったよね。 レゴで自分で組み立てたものを制御できるやつあるじゃん。

ぴく あー。記憶の片隅にありますね。

それを買ってやったりしてましたね。

ぴく いいですね。やっぱりものづくり系の人はレゴ好きが多い気がします。僕もキットのやつを買ってた。

あのブロックを繋げて制御できるやつでしょ?

ぴく そうそう(笑)ブロックを繋げるやつ。懐かしい。

懐かし〜。やってたなぁ。

ぴく 僕は難しいからやめようってなっちゃったんですよね…

原体験か….あとは何だろうなぁ…仮面ライダーとかヒーロー戦隊ものの変身グッズみたいなものが好きだったので、それの影響もあるんですかね。小学校の頃から漠然と物づくりに興味はありました。

ぴく 言われてみれば結構ヒーロー物とかってメカメカしくてカッコいいもの多いですもんね。憧れる。

ですね。そういうのも原体験?といえるのかもなぁと思ってます。

ぴく なるほど。ありがとうございます。じゃあ次に、現在の目標とかってありますか?

やっぱり何だろう、ただロボットが動けばいいというわけではなくて、なぜ動くのか、どうやって動くのかをできるだけ知りたいと思っています。

ぴく アルゴリズムみたいな?

そうそう。アルゴリズム。例えばさ、急に何も持っていない状態で無人島に行ったとするじゃん。

ぴく うんうん。

そこで0からパソコンとか、色んなものを作って現代社会と同じぐらいの水準にできるようになるのが夢なんだよね。

ぴく Dr.STONEみたいな。

そう(笑)Dr.STONE。動かすのもそうだけど、なぜ動くのかみたいなところに興味がある。

ぴく もっと低レイヤー(ハードウェア寄りの部分)をやりたいんですかね?

そうだね。低レイヤーやりたい。楽しいので。

ぴく いいなぁ、そういうものがあるっていうのは。そういえば、少し前に、課金して勝てるロボカップはいらないみたいなことをおっしゃってましたね。

そうそう(笑)言い方が悪いけどね。まず前提として僕はめちゃめちゃロボカップにお世話になってるし、大好きなんだよ。実際にロボカップで勝つために技術力を磨いて詳しくなれたし、ロボカップの「情報共有するのが良い」みたいな雰囲気は素晴らしいと思ってる。でも、正直高いパーツを買った者勝ちになってる部分はあるんだよね。いやぁ、なんかそれは違くないか?と思っちゃって。

ぴく お世話になったからこその思いなんですね。これ記事で公開して大丈夫なんですかね?

まぁ大丈夫でしょう。実際めちゃめちゃ感謝してるし。

ぴく それがきっかけでモーターの研究を始めたみたいな。

そうそう、大金を使わなくても良いモーターを使えるようにしたいなぁと思ってね。

ぴく そのモーターのプロジェクトでサイエンスキャッスル(株式会社リバネスが主催する中高生研究者の学会)に出てたよね。それで淳平くんのことを一方的に知ったんだよね。

そうそう。サイエンスキャッスル。

ぴく 文句言うだけじゃなくて実際に手を動かして解決しようとするの尊敬しかないですね。

いや〜、高いもの使わずに3Dプリンターで作った激安自作モーターで優勝したらカッコいいじゃん。

ぴく それ好きです。めちゃめちゃ好きですそれ。カッコいい。そういえばロボカップには今年も出場されるんですか?

いや〜めちゃめちゃ出たい気持ちはあるんだけどね。どうしても燈とかで忙しくて、出場できないかなぁ…

ぴく やっぱそうですよね…色々やられてますもんね。

あとロボカップって大学生になっても出場できるので。

ぴく あ、そうなんですね。

そこでは勝ちたいなぁと

ぴく 優勝待ってます。見に行くんで。みんなで応援しに行きます。

(笑)ぜひぜひ。

ぴく あ、一つ聞き忘れてた。普段はロボット以外に何をしていますか?

散歩。

ぴく 散歩以外に。

う〜ん。寝てる。

ぴく だいたいの人間は寝てますよ。

(笑)あ〜でも最近移動途中にパズルゲームみたいなやつをやってる。

ぴく ほう。なんてパズルゲームですか。

ノノグラムっていうやつ。

ぴく 知らないですね。初めて聞いた。

やろう!!!

ぴく 面白んですか?

面白い、でも本当に時間の無駄。

ぴく (笑)そんなことないでしょ。

本来は移動途中の時間とかに技術書を読んだりしたいんだけどね。どうしてもゲームしちゃう。

ぴく あ、分かります。僕も数字パズルみたいなのを移動中にやっちゃいます。 (検索をかけながら)はえー、ノノグラムってお絵かきパズルみたいなやつなんだ。これさ、ルール見たときに好きそうだなって思いましたもん。なんか。

(笑)

ぴく すごい好きそう。地道な作業の成果としてなにかを完成させて、満足するみたいな。 好きそうだなって。

好きだねぇwww 楽しい。

ぴく 電車でこれやってたらめっちゃ賢そうですね。あとでインストールしときます。

ふふふ。

ぴく よし。ノノグラムやるとロボットに強くなるって記事に書いておきます。

ははは。でもそれは実際にあると思います。

ぴく え、あるんですか?

いや、これマジでどうでもいいんだけど、本当にノノグラムをやってるとロボットに強くなると思ってて。ノノグラムってさ、今やってる所だけじゃなくて、絵を作るために全体を見るのよ。

ぴく うんうん。

そんでこれって結構応用が効くと思ってるんだよね。

ぴく ほう。

自分が今作ってるところが、他の場所とどうやって繋がっているのかを認識するみたいな。

なんていうかな、現状に集中しながらも全体を把握する力?

ぴく うんうん。ありますね

これってロボットにめちゃめちゃ応用が効くんですよ。全体とのバランスを見ながら作業していくのが大事なので。

ぴく 物づくり全般にも言えることかもしれませんね。プログラミングとか絵とか。

そうかもしれない。これは意外と大事な力なのかもしれないなぁと思ったりした。結論としては、ロボット強くなりたい人はノノグラムをやろう。脱線しちゃってすみません。

ぴく wwww いやでもいい話だったな。最初めちゃめちゃふざけてたけどよかった。

ふふふ。ありがとうございます。

ぴく 今からノノグラムをインストールしてきます。

(笑)いやでも僕はもう高3なのでノノグラムやってる場合じゃないんだよな。

ぴく あ、そうか。そういえばテスト勉強頑張ってましたね。テストはどうでした?

それはあまり聞かないでくれると…

ぴく 笑

えっと、下から数えて…

ぴく あ、触れちゃいけないやつだ。撤収。まぁ、留年しなければ、、

さすがに留年は大丈夫かな。多分。

ぴく 多分…?

大学附属なので、定期テストめちゃめちゃ大事なんですよね…留年さえしなければ…大学に行ける…

ぴく そっかそうだ。留年は大丈夫ですか?

どうだろう…

ぴく 頑張ってください(笑) そういえば附属だから慶應大学に進学すると思うんだけど、学部は決めました?

いや〜、まだ悩んでて、慶應のSFCか理工学部かなぁと思ってるんだけど。

ぴく ほう。理工一択だと思ってた。将来何になりたいとかってあったり?

アーティストか研究者かなぁ

ぴく アーティスト??意外ですね

アーティストっていうかクリエイターかな、ロボットを社会に組み込みたい。

ぴく 社会実装みたいな?

そうそう。社会実装。でも研究者になってロボットをガッツリやるなら理工学部なんだよね。今のモーターの研究みたいな路線で行くとしたら。

ぴく 確かに確かに。

でもSFCも良さそうなんだよなぁ。 しかもやりたいロボットの研究を理工学部でやれるか分からないんだよなぁ。

ぴく あっ、そうなんですね。じゃあ、やっぱりSFC?

いや〜でもSFCだと家から通えないかもしれないじゃん。一人暮らしはいやだ。

ぴく でも一人暮らしって楽しそうじゃないですか?

いや、一人暮らしだと多分ご飯食べなくなるんだよね。それで餓死すると思う

ぴく はははは、ずっと部屋でロボットいじってる?

ありえる(笑)

ぴく ほんとにやりかねないからな

いや〜でもSFCかな。色々考えて。

ぴく お、俺の先輩になる未来が見えてきたぞ。(ぴくは現在慶應SFC志望)

(笑)

ぴく かわいがってね。

もちろん!!

ぴく じゃあ最後にLarva06の読者にメッセージをお願いします。

え?メッセージ?え〜。え?どの視点でメッセージ送ればいいの?

ぴく どの視点でも大丈夫です!

じゃあ、えーと、ノノグラムやりましょう!!

ぴく (笑)それでいいんですか?

う〜ん。じゃあ、ロボットについて。本当に楽しいので、みんなロボットやろう!!!

ぴく いいですね。ありがとうございました。