広島県の生物多様性と希少種の現状 参加レポ

先日、芦田川水系スイゲンゼニタナゴ保全協議会ほか2団体が主催するシンポジウム、「広島県の生物多様性と希少種の状況」に参加し、取材させていただきました。

シンポジウムのポスター
シンポジウムのポスター (提供: 実行委員会)

このシンポジウムは芦田川水系スイゲンゼニタナゴ保全協議会、スイゲンゼニタナゴを守る市民の会、びんご自然史研究会が主催するシンポジウムで、当日はほぼ満員となり、169名もの方々が参加しました。

当日は朝10時頃に会場入りし、私を含め運営スタッフ全員で会場の設営を行いました。そのかいもあってか運営スタッフや登壇者の方々は打ち解けた様子で会話を楽しんでいました。
さて、開始時刻の40分程前からちらほらと参加者の姿が見え、その後も続々と受付を済ませた方々が入場していきます。開始時刻の13時には会場は満員となり、当初の想定を上回る人数が今か今かと始まるのを待っています。

満員状態の会場
満員状態の会場

次々と登壇者による興味深い発表が繰り広げられ、楽しい時間は過ぎ去っていきます。
下記が各発表者の発表タイトルと大まかな概要です。

鳥越さん・・・我々を支えている生態系サービス
秋山さん・・・近年生息数が増えた昆虫と減った昆虫
古本さん・・・野生絶滅寸前の広島県産スイゲンゼニタナゴ
阪本さん・・・地域ごとに独立しているトビハゼと小型サンショウウオ類
清水さん・・・大雨と近縁な外来種に脅かされるオオサンショウウオ
内藤さん・・・広島県産ナゴヤダルマガエルの保全

とくに興味深かったのは鳥越さんによる生態系ピラミッドの話です。高校生物で履修してはいましたが、食物網(食う食われるの関係が入り乱れた複雑な網目のこと)の最上位に雑食動物が存在する場合があることは初耳でした。たしかにその生態系に肉食動物が存在しない場合などは雑食動物が食物連鎖の高位に来る傾向となりますよね。

その他にも大変興味深い話が進行していき、ついに6人の登壇者による発表と締めの討論会が終わりました。

熱気も冷めやらぬ会場の中、参加者の方に感想を聞かせていただきました。

アルセド 参加した感想はどうでしたか?

参加者 とても興味深い話ばかりで楽しかったです。また同じような機会があれば参加したいと思いました!

アルセド そうですよね!とても楽しい3時間だったと思います。ちなみにどういったお話が興味深かったでしょうか?

参加者 うーん、正直全部面白かったのでなかなか選ぶのが大変ですが、しいて言うなら赤とんぼ(ここではアキアカネのこと)の話ですかね。いままで身近に感じていた昆虫ですが、実は最近減少しているとのことでかなり意外でした。もう少し身の回りの自然に目を向けてみようというきっかけになったと思います。

アルセド たしかに私も赤とんぼはたくさんいると思っていたので意外でした。身の回りの自然にもよくよく目を向けてみるようにしたいですよね。


その後は今回のシンポジウムについて運営の反省会にも参加させていただき、運営団体の方々にもお話を伺うことができました。

アルセド このシンポジウムですが、開催の目的というのはどういったものなのでしょうか?

運営 まず一番には、我々人間は自然を利用して生きていることを実感してほしいという想いを啓発するためですね。また、ここ広島県福山市には絶滅危惧種に指定されている「スイゲンゼニタナゴ」という魚がいるのですが近年、その保全に光明が見えてきまして、だったらそのスイゲンゼニタナゴと一緒に他の生き物たちの保全も啓発してしまおうという思惑もあり開催に至りました。

アルセド なるほど、保全に一つの光明が見えてきたのは喜ぶべきことですね。では、参加者の方々には開催を通じてどのようになってほしいと考えますか?

運営 いま身の回りで懸命に生きている生き物たちの現状を知ってもらいたいですね。知っているようでも実は知らないことってたくさんあると思うんです。だからこそ、このシンポジウムを通じて色々なことに興味を持って、見て回って、身の周りの生き物たちや環境に対する理解を深めていってほしいです。

アルセド ありがとうございます。たしかに色々なことを知るにあたって実際に見てみる、触ってみるは必要だと思いますね。さて、最後となりますが、私たちの暮らしの中で生き物や環境に対する見識を広げるにはどういったことをしたらいいと思いますか?

運営 やはりアンテナを大きく広げてほしいですね。例えば街中を散歩するにしても、ふと空を見上げたり、鳥や虫の音に耳を傾けてみてほしいです。そうすれば、今まで気づかなかった星が空に輝いていたり、美しい虫の音に心安らぐことができると思います。

アルセド ありがとうございました。日頃の行いが身の回りを知ることにつながるんですね。大変参考になりました。


約3時間の発表、そして最後の反省会と今回のシンポジウムからは沢山の学びを得ることができました。改めて芦田川水系スイゲンゼニタナゴ保全協議会、スイゲンゼニタナゴを守る市民の会、びんご自然史研究会の皆様、本当にありがとうございました!