合成生物学の世界大会iGEM2023でGrand Prize受賞!Japan-Unitedメンバーインタビュー①チーム紹介編
合成生物学の世界大会、iGEM2023に出場し、高校生部門のGrand Prize(最優秀賞)を受賞したJapan-United(別名:Ninjas)。Japan-Unitedのメンバー4名に、チームについてインタビューを行いました。
Japan-Unitedに関するインタビュー記事は、①チーム紹介編、②活動内容編、③現地での活動&その他編の3回に分けて公開いたします。本記事は①チーム紹介編です。
(インタビュー実施者ぴくはJapan-Unitedの一員でもあります。)
ぴく 本日はよろしくお願いします。まずは一人ずつ自己紹介をお願いします。
酒井 酒井純です。 Japan-Unitedでは実験の一部と雑務を担当しました。よろしくお願いします。
平 高校2年生の平圭介です※1。よろしくお願いします。
角野 こんにちは、角野です。チームではEducationや雑務を担当しており、アニメが好きです。よろしくお願いします。
池上 池上十和子です。Japan-Unitedでは、デザインやビデオ、アニメーション、資料等の作成といった、活動内容を伝えるための活動を主に行っていました。
※1:学年は取材当時。
ヰタ 皆さんが参加されている、チームiGEM Japan-Unitedについてお話を聞かせてください。
酒井 チームiGEM Japan-Unitedは、2023年11月にパリで開催される生物学の世界大会に出場を目指す高校生2名のX(旧:Twitter)での呼びかけで立ち上げられたチームです。
ヰタ チームの目標と研究の内容を教えてください。
酒井 チームの目標は、サフラン由来のカロテノイドであるクロシン、クロセチン、ピクロクロシンを大腸菌で生産し、低コストで安定的な新しい抗うつ成分の生産方法を確立することです。
うつ病は世界的な精神疾患で、日本国内での影響力も強い疾患です。しかし現在治療法は、高額な精神療法と、副作用の多い薬物療法の2つしか確立されておらず、どちらもリスクは高いことが課題です。リスクの低い治療法として、香辛料の一種であるサフラン由来のカロテノイドが注目されていますが、大量かつ安定的な生産方法は確立されていません。
そこで私たちは、大腸菌でグルコースから、サフランから取れるカロテノイドであるクロシン、クロセチン、ピクロクロシンを生産することで、低コストで安定的な抗うつ成分の新しい生産方法を確立することを目標としました。
最終的に、これらの化合物をクッキーに含ませて人々に提供し、革新的な生産手段とすることを目指しました。
ヰタ どのような研究結果が出ましたか?
酒井 結果として、クロシンは生産できませんでしたが、クロセチンとピクロクロシンは生産できました。また、クッキーのプロトタイプも作成しました。
ヰタ その結果から、どのようなことが期待できますか?
酒井 クロセチンとピクロクロシンを生産できたことによって、低コストで安定的な新しい抗うつ成分の生産方法を確立することができ、うつ病の治療法の選択肢が広がる可能性があります。
ヰタ チームは、どのようなメンバーで構成されていますか?
酒井 チームのメンバーは、生物学や化学、情報科学、人文学などについて研究している高校生※2 約20人です。
※2:チームメンバーは全員、加入時高校生だった人物で構成されていた。
ぴく ありがとうございます。
ぴく ここからは、Japan-Unitedのメンバーについてお聞きします。
まず、Japan-Unitedの創設から今に至るまでの流れを、自分から説明します。
最初はインターネット上で知り合った2人が中心となって創設し、千葉大GSC(グローバルサイエンスキャンパス)※3 に参加していた2人が参加しました。その後、DMでの募集や面接を行い、8人ほどメンバーが集まりました。更にその後も、大竹さん※4 を含む新しいメンバーが加わりました。
皆さんがこの活動に参加したきっかけを教えてください。
酒井 私は東京大学が主催するGSCに大竹さん(Japan-Unitedのリーダー)が参加していたため、彼とつながりがあり、誘いを受けて参加しました。
角野 私も同じです。東大のGSCで、大竹さんに誘われて参加しました。
池上 私もGSCに参加して、大竹さんに誘われて入りました。
平 私は九州大学による紹介からJapan-Unitedを知り、参加しました。
※3:GSC(グローバルサイエンスキャンパス)とは、大学が開催する、科学に興味を持つ高校生が科学や研究を学ぶことができるプログラムのこと。
※4:「大竹さん」とは、Japan-Unitedの総合リーダーである人物である。実験からほぼ全ての活動までを一人で管理し、回した超人(by ぴく)。
ぴく Japan-Unitedはどんな雰囲気で動いていたチームでしたか?
酒井 大竹さんの印象が強いチームでした。
ぴく 平さんが大竹さんを知ったのは入ってからですか?
平 はい。
ぴく 大竹さんについて、どんな印象をお持ちですか?
平 大竹さんは、単純にこなしたタスクも凄かったし、チームとして成り立たせる仕組みづくりもすごかったです。
ぴく 池上さんにもお聞きします。Japan-Unitedはどんな雰囲気でしたか?
池上 私は関西におり、なかなか他のメンバーと直に会うことが難しかったため、主にオンラインで関わりましたが、皆さん親切にしてくれました。
ぴく 酒井さんは、大竹さんの人間性についてどう思いますか?
酒井 大竹さんは目標を明確に持ち、努力されているため、彼に着いていきたいと思わせられます。
ぴく 分かりました。ありがとうございます。角野さんは、大竹さんについてどうお感じですか。
角野 大竹さんが、最高のリーダーであり、皆尊敬していたことは間違いないです。
ぴく そうですよね。研究者として尊敬できるし、人として尊敬できる人間性を持ち合わせていてすごいなと思います。池上さんはどうですか?
池上 もともと私は研究をしたことがなかったので、合成生物学についても知りませんでした。そのため、大竹さんに基本的な事、研究とは何かも含めて全部一から教えてもらいました。大竹さんは専門的な知識をしっかり持っておられますが、それだけではなく、「この人にはちゃんと任せられる」「こういう方がリーダーとして活躍するんだな」と人に感じさせるような性格も持ち合わせています。
ぴく 確かにチームメンバーは皆、彼に信頼を置いてましたね。
池上 彼に最後まで、ついていきたいなと思いました。
ぴく ありがとうございます。平さんは大竹さんについてどうお感じになりましたか。
平 大竹さんはなんとかやることだけしか考えてないから、それ以外のことについてはそこまで執着心を持っていないと感じました。Grand Prizeを取るということを目標として動いていれば、大竹さんが言ってることは理解できます。それが大竹さんの最終的な目標だから、他人に悪口を言ったり、人間関係を険悪にしたりすることは絶対しない人です。
ぴく 確かに最後まで、彼が悪口を言うのは聞いたことがないです。
平 ある意味、Grand Prizeを取ることしか考えてないから人間性として素晴らしいっていうのがあるかもしれないです。目標が定まっていて、手段も最適化されている。
自分は比較的、目の前にあることを先にこなしていくタイプなのですが、大竹さんはその先に何があるかというゴールに視点を置いていて、逆算して今やるべきことの方向性を定めているので、常にその先の結果を見つめていることができたのかなと思います。
ぴく 確かに、常に大竹さんの中では目標が定まってましたね。
平 大竹さんはめちゃめちゃ研究をしていましたが、その時もGrand Prizeを取ること、まだ誰も見ていないところを考えていました。
ぴく 研究量とかすごかったですよね、ノート見ても思ったのですが、他のチームのビデオを見て、分析していましたね。凄い。
平 本当に、勝つためにやっていたんだなと思います。
ぴく ここまでは、Japan-Unitedの4名に、研究の内容やチームの雰囲気、メンバーについて教えていただきました。ありがとうございました。
Japan-Unitedに関するインタビュー記事は、①チーム紹介編、②活動内容編、③現地での活動&その他編の全3回に分けて公開します。本記事は①チーム紹介編です。
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